さたでー ないと ふぃーばー
土曜日。午後6時。ウランが突然吐いた。
それまで元気だったのに、突然吐き、吐き続けた。
10分おきぐらいに吐く。止まらない。
顔が明らかに土気色。
ぐったりとしてきた。
病院へ行ったほうがいいだろうか?
かあちゃん「いつも診てもらってる小児科医院は……もうやってないよね。診察時間4時までだから。引っ越す前に診てもらってた小児科、ちょっと離れてるけど、あそこは診てもらえるかな?」
診察券の束を見ながらとうちゃん。
「……うーん。ダメだ。土曜は午前中だけだ」。
か「あ、Tクリニックは? 小児科専門じゃないけど、子どもも診てくれるし」。
と「そこも土曜の午後はやってない」。
か「じゃあ、医師会の夜間診療かな?」。
と「医師会の夜間診療は、土曜日だけは、やってないんだよ」。
か「えっ。じゃあどこに行ったらいいの? あ、あそこは? 大森に小児科の夜間診療センターができたじゃない。あそこどうだろう?」。
と「あそこは平日の夜だけなんだよ」。
か「……土曜っていうのは、平日じゃないんだ」。
と「うん」。
か「土曜日の夜って、行くところがないんだ! ……じゃあ、夜間救急病院に行くしかないんだ……。S大学病院か、E病院か……」。
と「ひまわりに聞いてみる」。
ウランはますますぐったりしてきた。
目を閉じてしまった。
眠っているのか? それとも……。
体が妙に冷たい。
とうちゃんがひまわりにかけた電話は、なかなか病院につながらない。
とても混んでいるのだという。
電話をつないだまま、待つ。
ただじっと待つ。
待つ。
世の中じゃ、土曜の夜だからと、うかれて飲んで騒いでいる人もいっぱいいるんだろう。
その一方で、土曜の夜だからと、診察を受けられない子どもがいる。
ウランだけじゃない。きっと、そんな子どもは、世の中にいっぱいいるんだ。
きょう、たまたまテレビで、医師会のコマーシャルを見かけた。
小児科の充実を進めるよう国に働きかけるというような。
なんていうか、こういうのが、「危機」っていうものなんだね。
日本医師会 「小児救急医療」編
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