« 人生最初の歌 | メイン | 警察庁が本気になったら3人乗り自転車ができる! »
2008年07月23日
その書店で、人が、死んだ。
その書店で通り魔事件が起き、22歳の女性が刺されて亡くなったことを知ったのは、事件が起きてから1日近く経つ、つい先ほどのことだった。
ただただ忙しく、ニュースを見る間もなく、1日、そのことを知らないままでいた。
34年前。
その書店の一号店がオープンしたとき、かあちゃんは、ちょっとしたドレスを着て、そこにいた。
華やかに、開店のドアが開いた。
晴れ晴れしく、そしてちょっとはずかしく、その書店のドアを、少女のかあちゃんは、通り抜けた。
たくさんの本に囲まれて、いつまでも本を読んでいられた。
こんなにたくさんの本がある書店に、行ったことがなかった。
平和で幸福な場所。
34年後。
事件が起きたその書店で、アトムは辞書を買った。
事件が起きたその書店で、ウランは絵本を買った。
その書店は、かあちゃんにとって、特別な場所。
その書店は、
その書店の名前を34年前につけたのは、
父だ。
いくつもの名前を考え、いくつもの書をあたり、毎夜悩んで、その書店の名前を、ようやくつけた。
その書店が誕生した記念にと、その年に生まれた自分の子どもにまで、その書店と同じ名前をつけた。
その書店の一号店がオープンしたとき、お客様を迎えるドアの一番前に立っていたのは、父だった。
従来の書店にはないほどに、多くの種類の本を揃えたのだと。
夢を実現させたのだと。
これまで、いくつかの通り魔事件が起きても、やっぱり、人ごとだったんだろう。
晴れやかに、その書店のドアを通り抜けてから、34年。
その書店で、人が、殺された。
Date : 2008/07/23 19:32
Posted : jun
Category : よもやま
Tags :
None
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
※ 下記URLの大文字「MT」を半角小文字「mt」に変換してご利用ください。
http://ikuji-na-techo.com/cgi/mt/MT-tb15.cgi/2017
コメント
大学の教養課程が八王子でした。利用していたのが京王八王子。。
junさんのお父さんのお店だったんですか。。(あってるかどうかわかりませんが・・)
名前とか覚えてなかったのですが、当時あったのであれば、何度も入っていたと思います。
本のある場所が好きです。。本の匂い、、欲しかった本が見つかった時の喜び、、、たわいもない事ばかりだけど、、幸せな場です。誰もが「ふと」入れる場です。だからこそ、彼は入ってしまったのか・・・決して汚して欲しくなかった。
junさんのお気持ち、、、察します。。
アトムくんの詩は、junさんのために生れたのかも・・・
Posted by : しだ : 2008年07月24日 09:46
たぶん、しださんが学生さんの頃は、あの駅ビルはまだ無かったんじゃないかと思います。以前は結構地味な駅で、駅前もごちゃごちゃしてましたよね。都市計画とやらで、なんだかんだで整備されたらしいです。
防犯のための店舗レイアウトを考えなきゃいけないですよね。そのあたりは甘かったんじゃないかと思います。たとえば、エスカレーター前には壁のようなものを作るとかワゴンを並べるとか。
そう思ってみると、有名デパートなんかはエスカレーターや階段と店舗の間に空間を置いてあるんですよね。
でも、この書店は、エレベーターからダイレクトに店内に入れたんです。エレベーターを利用しているお客さんの目に、並んでいる本が入ることだけを考えていたからですね。いかにも書店的発想だったんじゃないかと思います。本はそれ自体がPOPになりますから、本を目につく所に並べて通りがかりのお客の目を惹こうというのは本屋の発想です。
防犯のことあんまり考えてなかったりするんですよね。なんとなく内部がわかるだけに、駅ビルづくりも、そういうことを考えなきゃいけないんじゃないかと思います。
Posted by : jun : 2008年07月25日 18:42
いままで、ここでコメントしたとがないときは、コメントを表示する前にこのウェブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。
