ある流産(3
近所のクリニックの女医さんに紹介状を書いてもらう。その産院の名を告げると、意外な顔をされる。大学病院や大きな総合病院への紹介をすることが多いのだろう。とまどいながらその女医は言う。「……合うと思いますよ」。
紹介状を持って、産院へ行く。最初に説明をしたのは医師ではなく助産師。
「では、診察しましょう。ご主人もよろしかったら一緒にどうぞ」。小部屋の中の内診台の横に、夫も来る。エコーの画面を見てほしかったんだ。まだこれ見ていないでしょう? ほら、ここにいる、赤ちゃん。
お腹の上に降ろされたカーテンの向こうから、画面を説明する医師の声。「これが、赤ちゃん、これが心臓、心拍があります」。
「おめでとうございます!!」。
内診台を降りて、診察室へ行くと、医師のまわりを取り囲む6、7人の助産師さんたちが、いっせいに笑顔で声をあげた。
小さな小さな、お腹の赤ちゃんのエコー画像をもらう。
「この週数にしては小さいけれど、これは排卵がずれていたんだね」。医師が言う。
そんなことはない。だって、基礎体温、つけていたんだ。そんなことはない……。
そこに、カルテのところに、基礎体温表が添えてある。それを見れば、わかるはず……。
でも、つわりが苦しくてしゃべれない。
大勢の助産師さんたちに、にこやかに、送り出される。
ああ、私って、妊娠したんだ……。
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