赤ちゃんを出産する前に課したこと その2 抱っこする
「抱っこして」そう言われたら、抱っこする。そう決めた。
それはいわゆるハウツー育児というよりも、この世に生まれ出て来たキミの命が、無条件で望まれているものなんだよと、両手をさしのべる者がここに必ずいるんだよと、体で知らせたいと思ったからだった。
望む時に必ず抱いてあげれば、いつか母の手を必要としなくなった時に、勇気のある一歩を踏み出せる大人に育ってくれるに違いない。
それは信仰のようなものといえば、そうかもしれない。
アトムが「抱っこして」と言えば必ず抱いた。
ところが、アトムがまだ1才のときにウランがお腹にやってきた。まだ1才。
「抱っこして」「抱っこして」。
妊娠初期は重たいものを持ってはいけないなんていう。抱っこしてはいけないなんていう。でも抱いた。お腹に負担をかけない抱き方というのがある。ちょっと横抱きにして、赤ちゃんを腰にひっかけるようにして、小脇に抱えるようにして抱く。そうやって抱っこした。
それに、子どもを抱っこすると流産するというのは、あれは個人的に嘘だと思う。そんなことで流産するものではない。もちろん入院が必要な状態で…となると考えものだけれど、そうでなく順調ならば、そんなことで流産するものではない。初期の流産の原因がまだわからなかった時代の迷信だと思う。実際に流産しているかあちゃんからすると、抱っこが流産の原因というのはまゆつばな話だ。
それでも、お腹がふくらんでくると、物理的に抱っこしづらくなる。そんな時は、「抱っこして」と言った場所が道でも、道ばたにしゃがんで、抱き上げるのではなく、立っているアトムをただ抱きしめてじっとしていた。3分…5分…。
やがて満足して、彼は自分で歩き出す。
アトムは下の子の存在を感じている。かあちゃんは絶対にお腹の赤ちゃんに奪われることはない。赤ちゃんがいても、何も変わることはない。一緒に赤ちゃんを迎えよう。そのために、ただじっと抱きしめていた。
子どもを抱き上げる時は、必ずひざを折って、一度しゃがんで抱き上げる。お腹が大きくなれば、自然に覚える動作かもしれない。カエルスタイルというやつだ。赤ちゃんが産まれてからも、ひざを折ってしゃがんで、上半身を赤ちゃんに沿わせてから抱き上げる。
おんぶしている時も、ものを拾ったりするためにしゃがむ時は上半身を真っ直ぐにしたままひざを折る。そうせずに腰を丸めて用を済ますと、背中の赤ちゃんがすっぽりと頭から落ちる危険がある。ベビースリングを使う時もそう。ひざを折って腰を下げる動作が身に付かないと、ベビースリングの中の赤ちゃんがすっぽりと頭から飛び出る危険がある。
おっくうがって、しゃがまずに腰を丸めて抱き上げると、すぐに腰を痛める。
ウランが産まれてからは、ベビースリングでウランを抱き、開いた両手でアトムをおんぶした。ウランの首がすわってからは、ウランをおんぶして、アトムを抱っこした。
まわりの人がすごい顔で見た。
ふたりを毎日毎日抱き続けて、アトムはもうすぐ4才になる頃。やっと幼稚園に入る。
入園して、幼稚園の担任になった、21才のマスカラべったり塗ってイヤリング下げた、赤ちゃんを触ったこともないようなギャル先生が、ウランをおんぶしたかあちゃんに、突然怒鳴りつけた。「みんな下の子を抱っこしてんの!」。
わけがわからなかった。なぜこのギャルに唐突にそんなことを言われるのか。
子どもと目線を合わせる時にも、決してひざを折ってしゃがむことをせず、背を丸めて見下すようにして見た。ときに上目づかいでにらみつけるようにして見た。声をかけるときにも、子どもの背後の頭の上から言葉を浴びせかけた。
しゃがむことを知らない。子どもの目線で話すことを知らない。子どもを抱くことを知らない。
そんなギャル先生が「みんな抱っこしてんの!」と、子どもたちの前でかあちゃんを怒鳴った。
それからかあちゃんは、ちょっと壊れた。
よくある話といえば、そうかもしれない。
月日が過ぎ、ギャル先生は、たったの3年で幼稚園の先生を辞める。
その口実は、「幼稚園の子どもたちを抱っこして、腰を痛めたから」。
よくある話といえば、そうかもしれない。
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コメント[2]
わっはっは…確かに、よくある話といえば、よくある話です!
幼稚園の先生って、新卒で結婚するまで働いて、自分の子供ができたら、もういいや…「だってぇ、ホントは子供なんて好きじゃないんだも~ん!」…ってな先生も多いですね。
ワタシは過去の経験から、こどもを抱くことを強く欲していたし、いつまでも抱いていたかったから、抱くことで家事の手抜きなんかしちゃったり。
抱く時間も力もいっぱいあるのに、それをしないって、ホントもったいない。
でも、現実には、2人を両腕に抱えたワタシは「よくやるわ…。」と言われていましたね。
ちなみに、「絶対に腰を悪くする。」と言われ続けたけど、ちっとも。
Posted by アンティーク・マム at 2007年3月15日 22:39 | 返信
マムさん。そうなんです。
でも、笑い事じゃないんですよ。大事な子ども預けたんですから。
公立の小学校の先生でそういう話はマスコミなどで聞くのですが…。
Posted by jun at 2007年3月16日 17:59 | 返信
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