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2005年06月10日
つまらなかったから、おなかから出てきたの
「つまらなかったから、おなかから出てきたの」。アトムが言った。
4才になったアトムと部屋で遊んでいるとき、おかあちゃんのおなかの下でアトムが丸くなったので、「おなかの中でもこんな格好してたの?」と聞いたら、「うん」と言い、「おなかの中がつまらなかったから、おなかから出てきたの」と言う。
「おなかの中に白いオバケがいたの。白いオバケが食べちゃったの」。
…白いオバケ? へその緒、臍帯のことか? 食べちゃったというのは、臍帯が脈打っているのを見て、なにかを食べていると思ったのか? それとも自分のおへそに臍帯がくっついているのを見て、自分が食べられていると思ったのか?
へその緒が見えるということは、逆子だったころの記憶? かなりギリギリまで逆子だったのだ。次の検診で逆子だったら帝王切開しましょうと言われて、必死で自分でお灸したり、回ろうねと話しかけたりしたのだった。妊娠8~9ヶ月のころの記憶?
「白いオバケ、じゃまだったの。あっち行けって言ってもいたの。白いオバケ、こわかったよ」。
…そうだったのか…。
「おなかから落っこちたとき、痛かったよ」。
…産まれたとき、落っこちたと思ったんだ…。そういう話は聞いたことある。でも、本当にそう思っていたなんて、わが子が。しかも、痛かったんだ。産まれるとき、頭が少しひっかかって心拍数が少し落ちたのだった。かあちゃんは少しあせって、かなり気張ったのだった。安産で自然分娩だったけれど、ちょっとひっかかった。痛かったんだ…そうか…。
「痛かったよ」。
「もう言わないで」。
そう言ったので、もう聞かなかった。いろいろなことを思っているらしい。
1週間ほどして、かあちゃんに聞いてきた。
「おなかの中に産まれたときは、何月だったの?」
? 産まれたとき? アトムのお誕生日は…。そうじゃなかった。落っこって産まれる前、アトムがおなかの中に産まれたのは、何月だったのかと、聞いているのだ。
気がついたら、おなかの中にいた。自分はいつからそこにいたのかと、アトムは考えているのだ。
子どもを産む前は、胎内記憶とか誕生時の記憶というのはあまり実感としては信じていなかった。難産だと記憶が残っているとかいう説もあったし、まれにそういう記憶を持つ子もいるらしいけれど…ぐらいにも思っていた。でもいちおう胎教というのも気にして半信半疑ながら話しかけてみたりしていた。
けれど、今は、胎内にいたころの記憶を持っているのは、ごく当たり前のことだと思っている。まだ言葉を話せないというだけのことで、赤ちゃんはいろいろなことを感じたり考えたりしている。もちろん、おなかの中にいたときから。
つまらなかったから、おなかから出てきた、その世界は、つまらなくない世界だっただろうか?
これからのアトムの人生で、いつまでも、つまらなくない世界で、あってくれるだろうか?
Date : 2005/06/10 23:23
Posted : jun
Category : アトム
Tags :
None
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